いつまでも枯れずに思い出もそのまま残すプリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーをご存じですか?
プリザーブドフラワー(preserved flower)とは、生花でも造花でもない、枯れない花のことをいいます。といっても、もともと新しい花を作ったのではなく、プリザーブ(preserve)という英単語には「保存する」という意味がある通り、生花を加工することで、時には10年以上にも及ぶくらいの長い間、特別な手入れをすることなしでお花を保存することができるという花のことをさしています。
花を美しい状態で保っておきたいということは人間が古くから持っている願いで、エジプトのピラミッドからは、ドライフラワーの痕跡が多くみられるほどでした。ずっと昔から、花を保存する方法といえばドライフラワーが一般的でしたが、はるか昔のエジプト文明からの同じ方法だったということになります。
それが科学技術の発展に伴って、1970年代には単なるドライフラワーから、サイズを小さくせずに色合いを残すというフリーズドライ製法という技術が使用されるようになりました。このフリーズドライ製法という方法では、花を−30℃くらいで急速に冷凍させ、さらに減圧させて真空状態で花の水分を蒸発させ、長持ちさせる方法のことをいいます。
このフリーズドライ製法による花は、人気を得て世界中に広まりましたが、花が固くなってしまうことや変色を避けることはできませんでした。どうしてももっと花を美しい状態で保存しておきたいと願った研究者たちは、葉っぱ類を柔らかく保っているグリセリンを使った方法に注目し、1980年代頃からプリザーブドの技術に関して研究が始まりました。なかでも1976年に研究を開始した、ドイツのベルリン大学とベルギーのブリュッセル大学では、長寿命の切り花を開発することをテーマに共同研究を始め、10年間の研究を無事成功させて1987年にはプリザーブドフラワーの技術を発表、1991年にはフランスの会社ヴェルモントがその技術を基に世界特許を取得しました。
そしてプリザーブドフラワーは、その技術が世の中に知れ渡るや否や、「枯れることが無い」という画期的な発想と、豊富なカラーバリエーション、アレンジメントが受けて、まずはヨーロッパ中に、あっという間に広がりました。そしてその広がりを受けて日本の花業界でも話題を集め、2年後には日本中でも流行を起こすこととなりました。プリザーブドフラワーをご存じですか?日本にも人気のプリザーブドフラワーショップが登場しています。
このプリザーブドフラワーは、「枯れることが無い」とされる花ですが、これはつまり、科学技術によって生花を長期間、そのままの美しい状態で保っておけるようにしたものということを意味します。さらに、水やりなどの日常的な世話の必要もありません。手触りは造花とは違って、生花のような柔らかさを感じますが、もちろん生花には負けてしまいます。しかし花本来の美しさにより近い状態で花を長期間保存できるプリザーブドフラワーは、贈り物として日本でも人気の高い商品となりました。母の日や結婚記念日など、節目となる日に感謝とそれ以降も長くきれいで美しくいてほしいという願いも込めて、プリザーブドフラワーを送るようになってきています。特にブライダルに花嫁さんがブーケとして持つ花束にプリザーブドフラワーを使うということが、高い人気を誇るようになっています。
プリザーブドフラワーのアレンジで楽しむ
プリザーブドフラワーは、まだまだ値段が少し高いものとなっていますが、花の種類も豊富に発売されるようになってきたため、プリザーブドフラワーで花束をアレンジできるようにもなり、近年ではよりプレゼントとして人気が出る商品となってきました。一番初めにプリザーブドフラワーで使用された花はバラです。
そのため今でもバラのプリザーブドフラワーは、人気の高い花となっています。そして最近ではアジサイやチューリップ、ガーベラ、カーネーション、ランなど、非常に様々の花たちがプリザーブドフラワーとして扱えるようになりました。また生花には存在しないような、青いバラを作ることもできるほどで、カラーバリエーションは非常に豊富です。
もともとプリザーブドフラワーには花首だけしかありません。そのため、クラフト的な用をも強くあって、アートフラワーやリボンをかけたりすることとしての楽しみも強く、プリザーブドフラワーを見て楽しむだけでなく、自分でも作ってみるということを楽しむ方も、一気に増えてきました。現在では、プリザーブドフラワーの資格や教えてくれる教室も開かれているほどで、プリザーブドフラワーが今後ますます多くの方に愛されていくことが見込まれています。
プリザーブドフラワーの活用
プリザーブドフラワーは、なんといっても枯れない花ですから、いろいろなところに生かして使うことができます。その中でもなんといってもプリザーブドフラワーが活躍する場といえば、ウェディングのブーケです。プリザーブドフラワーの素晴らしい点は、見た目は生花と同じで、触った感じも成果と違いが分からないほどなのに、長期間保存でき、しかも生花にはない色の花を作ることができるということがあります。
ですからそのような長所を生かしてウェディングブーケを作れば、非常に華やかで明るく、自分の好みのブーケにできるだけでなく、そのままの姿でガラスケース等に入れておけば、その後長期間そのままで保存できるというわけです。今までブーケを保存する方法というと、まるで押し花のようにして保存しておくか、ドライフラワーにしておくかといった方法しかありませんでした。
それでは元の形がどうしてもなくなってしまいます。しかしプリザーブドフラワーのブーケなら、ブーケそのままに取っておくことが可能なのです。こういったことが非常に喜ばれて、今ではブーケにプリザーブドフラワーを使いたいというカップルは急増しています。
オリジナルコサージュ
その他、もっと手軽にプリザーブドフラワーを楽しむ方法としては、プリザーブドフラワーでオリジナルのコサージュを作ってみるということがあります。コサージュでしたら花の数もたくさんいりませんし、大きなものにする必要もありません。そしてその作ったコサージュを使って、髪を飾ってパーティドレスと合わせてみたり、結婚式に呼ばれたときのファッションの1つにしたり、もっと身近には、夏のかごバッグや冬のファーバッグにアクセントとしてつけてみたりするというのも楽しいことでしょう。コサージュにしたプリザーブドフラワーは傷みやすいので、ずっとつけていたり使いまわしをしたり繰り返し使ったりするということはできませんが、まるで見た目は生花のようなのに1日おしゃれを続けさせてもらえるということだけでも、十分魅力的ですね。
そしてプリザーブドフラワーが身近に最も活躍する場といえば、なんといってもプレゼントです。誕生日はもちろんのこと、母の日や父の日、クリスマスやバレンタインデーといったイベントでは、プリザーブドフラワーは非常に喜ばれることでしょう。出産祝いにもよろこばれるでしょうし、名入れギフトも出産祝いには良いですよ。いくつになっても、特に女性では花束はもらってうれしいものです。ですがその花束もいつか枯れていってしまうと思うと、せっかくの喜びがいつか終わってしまうようで、寂しくなります。
しかしプリザーブドフラワーなら、上手に保存しておけば10年近くはそのままの状態で保存しておくことができます。しかも、水やりなどの日ごろの手入れは全くいらないので、忙しいお母さんに贈った花束も、花の手入れなんてしたことが無いというお父さんに贈った花束も、長くきれいに咲かし続けることができます。プリザーブドフラワーが咲いている限り、感謝や愛情の気持ちが長く伝わっていくようで、贈った側も長くうれしい気持ちでいられますね。
プリザーブドフラワーを花束にして
できることなら、相手の好きな花を聞いておいて花束にできると、もっと喜んでもらえることでしょう。現在のところ、プリザーブドフラワーになる花の種類は限られていますし、プリザーブドフラワーに向いている花と向いていない花というのもあります。ですからすべての花をプリザーブドフラワーにすることはできないのですが、贈り物に映えるような華やかな花はたいていプリザーブドフラワーにすることができますので、きっと気に入ってもらえる花束を作ることができるでしょう。
プリザーブドふわらーで人気のある花というと、やはりなんといってもバラです。バラの中でも、深紅のバラはもちろん、自然の中では普通には見ることができない青いバラというのも高い人気を誇っています。その他にも、カーネーションやチューリップはプリザーブドフラワーにできる花で、実際にプリザーブドフラワーにもなっていますので、これらを使えば、きっと華やかなプリザーブドフラワーにすることができるでしょう。